「Orbital2 STERNA」って、ネット上の評価がけっこうわかれていたりしますよね。
ダイヤルとボタンだけというシンプルな構造ながらも、近未来を感じさせるデザインで私自身も前々から気になっていた左手デバイスをようやく購入するにいたったので、おなじように二の足を踏んでしまっている方のためにレビュー記事化してメリット・デメリットなどを共有しておこうと思った次第。
ビジュアルはバチクソかっこいいOrbital2 STERNA(オービタルツー スターナ)は、使えるの使えないの、さてドッチ!?
Orbital2 STERNAにした理由
検索してこの記事にたどり着いたあなたなら、Orbital2には無印の過去モデルがあって、Orbital2 STERNAはマイナーチェンジされた廉価版的後継機だということは、すでにご存知だろうと思います。
まずは無印との違いをざっくりと表でご覧いただきましょう!
Orbital2 STERNA | Orbital2 | |
---|---|---|
登録可能な最大プロファイル数 | 5つ | 無制限 |
上級者モード | なし | あり |
バイブレーション機能 | なし | あり |
リストメニューに登録できる最大コマンド数 | 7つ | 無制限 |
プログラムマクロ機能 | 一部機能制限あり | 無制限 |
テキストブロック機能 | なし | あり |
拡張機能 | Lightroom Classicに対応 | Lightroom Classicに対応 |
アップデートによる新機能追加 | なし | あり |
Orbital2 Logger | 非対応 | 対応 |
カラー | 白のみ | 黒のみ |
価格 | 18,920円 | 35,200円 |
こうやって見るとわかりますけど、まず第一の理由は「価格」ですよね。 いくら機能制限がされているとはいえ、無印に比べてSTERNAは約半額と圧倒的に安い!
まあ、たとえばクリスタとかイラストレーターとかで本格的に使おうって考えているひとからすると、機能が豊富な無印のほうが魅力的なんでしょうけど、私みたいにちょっと動画を見るときに使ってみようかな程度だとSTERNAで十分かなというところ。
また、STERNAのほうが後発の新機種ということで、ハード面の使い勝手が大幅にアップしているという点。


私は無印を使ったことがなかったんですけど、無印から続けて使っている人の話だと、使用感はSTERNAが圧倒的に快適で別デバイスレベルになっているとのこと。
そのほかにも、Micro-Bだった無印に対して、STERNAはちゃんとUSB-Cになっていること、そしてスティックの周りのフラットリングボタンに凹凸がついていること(下の画像で確認してね)が決定打となりました。 いつも言ってるけど、いまさらMicro-Bは使いとうない。
これらのメリットがあることで、よほどヘビーに使いこなそうと考えている人以外はSTERNAのほうを選びたくなってくるのではないでしょうか。
ソフト面で優遇されている無印(旧作ハイエンドモデル)、ハード面で優れているSTERNA(新作廉価版)と、なんだかちぐはぐな仕様になってしまっているのは、なんとかして欲しいポイントですな。


開封と同梱物
まずはパッケージの写真から。 ここでもSDGs()が意識されているらしく、かなり薄っぺらい箱に入っております。


開けてみると、本体を浮かしたちょっと不思議な梱包。 包まれたビニールを破ることなく開けられるようになっているので、同梱されている開封方法の紙を読んでから取り出すのが吉。

本体以外の同梱物は、クイックスタートガイドとPCと接続用のUSB(A to C)コードの2点とシンプルな構成。

外観
プラスチック製の本体はサラッとした触り心地で質感よし。 なんといってもこの近未来を感じせるデザインがいいですよね! あと、左手デバイスとしては最小レベルなので、デスクの上で場所を取らないというのもポイント。
試しにスパイスの瓶と並べてみたら似たような大きさだったので、間隔を知りたい人は家にあるスパイスをつまんでみると良いでしょう(笑)


上のスティックをつまんでクイっと倒し、くるくると回転させて操作するほか、土台部分に設置されたフラットリングボタンを押し込んで操作することもできます。
無印からの変更点として、フラットリングのボタン部分に凹凸がつけられていることで、ノールックでもボタンがある位置がわかりやすくなったという改善点があります。

無印にも丸いくぼみはあったようだけど、「∴」型のでっぱりはなかったみたい。


接続はUSB-Cに対応。 ちなみに無印、STERNAともに有線モデルしかありません。 無線モデルがあったら嬉しかったんだけど、実装するにはサイズ的にも難しい感じ… なのか?

底面は滑り止めが付いているのみ。 意外に本体はずっしりと重みがあるので、操作中に本体が動いてやりづらいといったことはあまり起こらなさそう。 少なくとも私は使っていてそう感じることはありませんでした。

PCと接続すると、周りのリングが光りを放ってさらにかっこよくなる。 プロファイルによって色を変えることができるので、今どのプロファイルになっているのからひと目でわかって使いやすい。

操作感
スティック
Orbital2が欲しいな~と思っている人にとって気になるのが、スティックの操作感だと思います。
私自身も購入前から相当気になっていたんですが、実際に使ってみたら思っていた以上に操作感は良かったです。 予想していたよりも軽い力でスティックが倒れて、心地よいクリック感でくるくると回転させる感触はクセになりそうなやつ。
ダイアルには、国内メーカーの100万回転耐久ロータリーエンコーダーパーツ、スティック押し込みスイッチは、パナソニック製の長寿命タクトスイッチがそれぞれ採用されているとのこと。

ちなみにこのスティック、マニュアル乗用車のミッションみたくレールに沿って動かすような形ではなく、基本的に360度自由に動かせるデザイン。 ケース内部の端っこにぶつかったところが以下のような形状になっていることで、8方向のどの向きに倒しているかがわかるようになっています。

倒し、回転の操作感が抜群にいい一方で、押し込み操作は多少の使いにくさも感じられます。
というのもスティックを押し込むのにけっこう力が入り、まっすぐに押し込まないとスティックが横に倒れてしまったりするからです。 慣れでなんとかなるかも?と思ったけど、私は1ヶ月くらい使っても慣れることありませんでした。
フラットリング
画像で見た感じ、フラットリングのボタンは堅めの押し心地だったら使いにくそうだなあ… なんて思ってましたが、そこはちゃんと考えられているようで、柔らかめでふとした時にも押しにくさを感じることはありませんでした。
それとは直接関係ない話ですけどこのボタン、角のところに隙間があるのかと思いきや、下の光るリングの上のところに隙間があってそこにスイッチが入っていたのが意外だったポイント。 この構造がソフトなボタンの押し心地に寄与しているのかもしれませんな。

ボタンは8か所に配置されていて、上記の通り表面に凹凸加工がされていることで、ノールックでも迷うことなく操作することができます。
本体のサイズが小さめということもあって、思っていたよりも全ボタンに指が届きやすいけど、唯一右ななめ上(1時半の位置)にあるボタンだけが、どの指で押せばいいかわからなくてちょっとやりにくい感じ。(左手で操作した場合)

押し込んだ時の感触は、カチッカチッといったマウスのスイッチのようではなく、もう少しストロークが広めで「コクッコクッ」といった感じ。
また、上下左右の4方向にしかスイッチが入っていないのも特徴。 たとえば右下の○のボタンを押し込んだ際には、右と下のスイッチが同時入力されてななめ判定になるということ。
これにより、丸くくぼんでいる部分をわりと正確に押し込まないと、右や下のスイッチに誤入力されてしまうのがやや使いにくかったのと、気持ち的にはひとつのスイッチを操作しているはずなのに、コクコクッと連続でスイッチが押されている感触がちょっと苦手。

ソフトウェア
Orbital2 STERNAを使い始めるには、「USB通信用ドライバ」と、「Orbital2 Core」という2つのソフトをPCにインストールする必要があります。
ドライバのほうはあとで解説するとして、Orbital2の操作にかんしての各種設定を行うのがOrbital2 Coreというソフトのほう。
Orbital2は国内メーカーの製品ということもあり、ソフトも日本語だし直感的に操作できるので、設定で困ることはまずないでしょう。

フラットリングは、ただボタンに機能を割り振るだけというシンプルな機能。
一方、最初に戸惑ってしまいがちなのが、「Orbital Engine設定」(スティックの機能設定)のほう。
なぜならOrbital Engine設定には、「Orbital Engineモード設定」と「Joystickモード設定」の2種類があるからなんです。 使ってみたらすぐにわかるかとは思いますが、ここでもざっくりと解説しておきましょう。
Orbital Engineモード設定
Orbital Engineモードは、8方向にレバーを倒してモードを選択、その後回転と押し込みで操作を行うモードのことです。倒しながら回転させるのではなくて、倒してモードを選択してから操作するということ。

こんな感じでスティックを倒した方向に対して、押し込み/左回転/右回転 の3つの操作を割り振ることができます。 スティックは8方向に倒すことができるので、ひとつのプロファイルに対して「8 × 3 = 24」の設定を割り振れるということ。
Orbital2 のメイン機能といった感じで、私は今のところこっちのモードのみを利用しています。

Joystickモード設定
Joystickモードはもっとシンプルです。
スティックを倒した方向に直接機能を割り振るだけ。 その他、ニュートラル位置での 押し込み/左回転/右回転 にもそれぞれ機能が割り振れます。ひとつのプロファイルに対して「8 + 3 = 11」の設定が利用可能。

新規プロファイル作成時には、「推奨設定からプロファイル作成」を選択することで、デフォルトで用意されているプロファイルをそのまま使うことも可能。 用意されているのは動画・画像編集ソフトのプロファイルが中心で、それらのソフトはひとつひとつ設定するとけっこう面倒だったりするので、これは嬉しいポイント。

ここで注意しておきたいのが、無印では無制限にプロファイルが作成可能なのに対して、STERNAだと5つまでと制限されていること。 STERNAは無印の半額近くの廉価版だということはわかるけど、ここ制限する必要ありました?
ガイド表示で使いやすい
使っていて便利だなあと思ったのが、任意で画面上に表示できるこのガイド。 どのボタンにどの機能を設定したのかがひと目でわかる! Orbital EngineとJoystickモードはスティックを傾けたときにだけ、以下のガイドが表示されます。
中央の小さい白丸のポインターが、スティックの傾けている位置に動いてくれるのもわかりやすい!

フラットリングボタンの方は、常に表示させるか非表示かの2択。 スティックに比べると使用頻度が低めな分、こっちのほうが忘れちゃいやすいんですよね。 まあ、それも慣れるまでの話。

まとめ
以下から、少しクセのあるUSB通信用ドライバのインストール方法についても解説しますが、Orbital2 STERNAのレビューは一旦ここでまとめ。
ネット上では賛否両論の意見が見られることで、正直、そこまで期待していなかったんですが、実際に使ってみたら操作感もいいし、見た目もかっこいいし、小型で場所も取らないしで、かなり優秀な左手デバイスだと感じました!
無印のほうは実際に使ったことはないんだけど、STERNAになってハード面が大幅にパワーアップしていたってことなのかもしれませんな。
イマイチだった点としては、Orbital Engineモードでは、クルクル回転させる前に一旦スティックを倒さないといけないのが、ちょっと面倒に感じることがあるのと、STERNAは謎に機能が制限されているという点ですかね。
ただ、ロータリーエンコーダーはまじで便利で、たとえばPremiere Proで タイムラインと移動するときとか、Photoshopでブラシのサイズを変更するなどの用途に最高に適しています。 どれくらい便利かと言ったら、これまでに使ったことがない人は感動を覚えるレベルで(まじなんです)


USB通信用ドライバのインストール方法
最後に、Orbital2 STERNAのUSB通信用ドライバのインストール方法も解説しておきます。(ちょっとクセがあったので)
ドライバは、「Orbitalポータルサイト」からダウンロードできます。
上記リンクから移動したら、「Orbital2 STERNAをご使用の方はこちら」から、通信用ドライバ(CP210x Universal Windows Driver for Orbital2 Series)とOrbital2 Core(Orbital2 Core for Windows)のインストールファイルをそれぞれダウンロードしましょう。

通信用ドライバは、「CP210x Universal Windows Driver for Orbital2 Series」名のフォルダの中に入っています。 ダウンロードしたZIPファイルを解凍したら、中にある「 silabser.inf 」という名前のファイルを右クリック → コンテキストメニューの中に「インストール」という項目があると思うので選択しましょう。

以下のウィンドウが表示されたら、通信用ドライバのインストールは完了です。

インストーラーというと「 .exe 」ファイルというイメージだったんですが、ちょっと特殊だったので解説しておきました。
あとは普通に「Orbital2+Core+Setup」という名前の .exe ファイルをインストールするだけでOKです。




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