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UGREEN Nexode Wavy レビュー|45Wも容量も全部実測してみた

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UGREEN Nexode Wavy レビュー|45Wも容量も全部実測してみた

当ブログではこれまで、UGREENのモバイルバッテリーを何本か触ってきました。130Wの大容量モデルやら、巻取り式のやつやら。

ほんで、今回の「UGREEN Nexode Wavy」は何が違うのかって?

画面がついてるんですよ。

電化ねこ

モバイルバッテリーなんて、どれも一緒ちゃうの?

ここ数年、モバイルバッテリーが発火したというニュースをちょいちょい見かけるようになりまして。回収のお知らせも、そんなに珍しいものではなくなってきた。

よく考えたら私ら、中身がまったく見えない箱を、カバンに放り込んで、枕元に置いて、飛行機にまで持ち込んで生活しているワケです。私みたく引き出しに何個か転がってる、という人も少なくないはず。

そら気になるわな、と。

そこにきてUGREEN Nexode Wavyです。画面に出るのが残量だけじゃない。セルの温度、セル1個ずつの電圧、バッテリーの健康度、しまいにはセルの製造元と型番まで出てくる。こやつ、完全に中身を見せにきとる。

でもね。ここでひとつ引っかかったんですよ。

その画面、本当に信用してええんか?

表示が正しくなければ、見えている安心はぜんぶ嘘になります。「安全が見える」を名乗るなら、まず表示が正確でないと話になりません。

というわけで、45Wも、10000mAhも、温度も、全部測りました。USBテスターを挟んで、放電しきって、また充電しきって。数日がかりの記録です。

UGREEN Nexode Wavy本体、リブ形状とディスプレイと内蔵ケーブル
目次

「安全性が見える」とは?

先にWavyの立ち位置をはっきりさせておきましょう。これは「速いバッテリー」でも「大容量バッテリー」でもありません。中で何が起きているかを隠さないバッテリーです。

普通のモバイルバッテリーって、調子が悪くなっても分かることが少ないんですよね。充電が遅い、なんか熱い、急に止まった。理由は箱の中にあって、こっちからはなんも見えない。

Wavyは、セル温度もセル1個ずつの電圧も健康度も充放電回数も数字で出ます。異常が起きたときは、その理由がアイコンで画面に出て、日時つきでログに残る。

つまり「燃えません」と主張する製品ではなく、「今どうなってるかを見せまっせ」という製品。ここを押さえておくと、このあとの話が読みやすくなります。

向いている人
  • ノートPCを1台だけ、全力で充電したい
  • 数字を見るのが好き。中身が分からないまま使うのが落ち着かない
  • 安全性の高いモバイルバッテリーを使いたい
  • Wh表記が本体に明記されている機種を選びたい
向いていない人
  • スマホもイヤホンもまとめて、”複数台まとめて”速く充電したい
  • 置くだけ充電やMagSafeが要る
  • とにかく安く済ませたい
UGREEN Nexode Wavy シルバーの正面、ディスプレイ点灯

UGREEN Nexode Wavyの基本スペックと価格

先に数字を並べておきます。今回使ったのは10000mAhのシルバー、型番PB603です。

定格エネルギー39.1Wh(7.62V)
表記容量10000mAh(3.7V換算)/5V3A時 6000mAh
セル構成2セル直列
最大出力45W(単ポート時)
最大入力36W
ポート内蔵USB-Cケーブル/USB-C/USB-A
ディスプレイTFTカラー・7画面
サイズ・重量10.9×6.9×1.8cm/211g
価格7,980円(税込)

ひとつ先に知っておきたいのが「10000mAh」の読み方です。これは3.7V換算の表記で、中身のほうはセルが2個の直列。背面ラベルに刻まれている定格エネルギーは39.1Wh、電圧は7.62Vです。5V3Aで使ったときの定格容量は6000mAhと書かれています。

数字がいくつも出てきてややこしいんですが、この記事では39.1Whを基準にします。Whは電圧が変わっても意味が変わらない単位なので、比較にはこっちが向いてるという判断。

UGREEN Nexode Wavy背面の仕様ラベル、39.1Wh 7.62Vと認証マーク
当然、PSEマークもついている


39.1Wh/7.62Vの表記と、下のほうにある「Multi-port Output 5V⎓3A」(たぶん画像じゃ見えない。肉眼でもキツイ)の行。この2つが後で話に出てきます。

なお、同じシリーズには20000mAhモデルもあるので、とにかく容量が要るという人には、そちらという選択肢もあります。

USB-Cケーブルがそのままストラップ。この発想はなかった

箱はこんな感じです。正面に39.1Whと45Wが刷ってあります。

UGREEN Nexode Wavyの外箱正面、39.1Whと45Wの表記

内蔵ケーブルが、そのまま持ち手になる

本体の外周に沿ってUSB-Cケーブルが埋め込まれていて、これを引っぱり出すと、そのままストラップになる。この発想はなかったし、なんかおしゃれだぞ!

UGREEN Nexode Wavyの内蔵ケーブルを引き出した状態


先端はUSB-C。指を通してぶら下げられるし、カバンのフックに引っかけることもできる。ケーブルを別に持ち歩かなくていいのは、当たり前のようでいてありがたい。

UGREEN Nexode Wavyの内蔵USB-Cケーブル先端、ストラップ状のループ

211gという重さは、何と同じくらいか

公称のサイズは10.9×6.9×1.8cm、重量211g。数字だけ見てもピンと来にくいので、今回はウタマロ石鹸にツーショットをお願いしました。

UGREEN Nexode Wavyをウタマロ石けんと並べたサイズ比較


石けんよりひとまわり大きくて、厚みは倍くらい。サラサラのアルミボディに細いリブが入っていて、グリップ感のある男らしい(?)デザイン!

画面に出るのは7つ。残量だけじゃない

ボタンを押すたびに画面が切り替わります。全部で7つね。

画面出るもの
メイン残量%・リアルタイムのW数・残り時間・動作状態
Battery Health健康度%・充放電サイクル回数
Cell Temperatureセル温度(℃と℉)
Cell Voltage合計電圧・U1・U2の個別電圧
Cell Brand / Modelセルの製造元と型番
Cell Serial Numberセルのシリアル番号2つ
Power per PortC1・C2・Aのポート別W数

メイン画面には残量と、そのときのW数と、残り時間が出ます。ここまでは普通のバッテリーにもあるやつ。

UGREEN Nexode WavyのTFTメイン画面、残量28%で入力16W


おもしろいのはここからです。セル温度、セル電圧、セルの製造元と型番。この3画面は他社ではあまり見かけないやつですな。

UGREEN Nexode Wavyのセル温度表示、36℃と96℉を併記
UGREEN Nexode Wavyのセル電圧表示、合計8.16VでU1U2とも4.08V
UGREEN Nexode Wavyのセルブランド表示、ATL製の型番606072G


U1・U2というのは、中に入っている2つのセルの電圧を1個ずつ表示したものです。この画面のおかげで確認できたことが後で出てきます。

開封直後にしか撮れない画面がある

バッテリー健康度100%、充放電サイクル0回。新品を開けた直後にしか見られない激レア画面。

UGREEN Nexode Wavyのバッテリー健康度100%、サイクル0回


これが、1回使い切って充電し直したあとにはこうなる。

1サイクル使用後のバッテリー健康度100%、サイクル回数1回


サイクル回数が1回に。健康度は100%のまま。当たり前といえば当たり前なんだけど、自分が使った回数が刻まれていくのが見えると、なんだか妙に愛着が湧いてくる。

電化ねこ

ところでセルの型番まで見て、どうすんの?

それはですね、後半の安全性のところで回収します。もうちょい待ってください。

45Wは本当に出るのか、MacBookで測ってみた

測った環境

使ったのは、ノーブランドの十字型USBテスター。安物ですけど、電圧・電流・W数に加えて、積算Wh・積算mAh・経過時間まで出る。そして今回いちばん見ていたのがこの画面。

USBテスターの詳細画面、積算Whと積算mAhと経過時間


精度については、絶対値として信用するというより、同じテスターで測った値どうしを比べる道具として使いました。

負荷(充電先)はMacBook Air M4。繋ぎ方はシンプルで、Wavyから生えている内蔵ケーブルをそのままテスターに挿して、MacBookへ。充電器も、ほかのケーブルも挟んでいません。Wavyに溜まっている電気だけで動かしています。

結果は42.94W

MacBookを20%以下まで減らしてから繋いだ、Wavy側の残量96%の時点。Wavyの画面は44.4Wと表示していました。

UGREEN Nexode Wavyのメイン画面、残量96%で44W出力・残り46分


で、同じ瞬間のテスターがこちら。

USBテスターの実測19.7V×2.17A=42.94W、Wavyの表示は44.4W


19.7V×2.17A=42.94W。2.17Aという電流は、PDの20V/2.25A契約のほぼ上限です。45Wは出ています。

ただ、付け加えておくと、この45W級が続くのは最初の5分ほど。そのあとは18〜28Wあたりに落ち着きます。

で、気になるのはこの1.5Wの差なんですよ。

その表示、信用していいのか。放電と充電で答え合わせした

Wavyの表示44.4Wに対して、テスターの実測は42.94W。Wavyのほうが1.5W大きい。

これだけ見ると「ちょっと盛ってるんちゃうか」と思うところですが、話はここからです。

充電のときは、逆にWavyのほうが小さい

今度は向きを変えて、Wavyに電気を入れる側で測りました。VOLTME Revo 65(単ポート65W)から、VOLTMEの100W PD対応シリコンケーブルを通してWavyへ。その途中に同じテスターを挟んでいます。

このときWavyの画面は、入力32.8Wと表示していました。

UGREEN Nexode Wavyのポート別表示、C2からの入力32.8W


同じときのテスターは34.50W。今度はWavyのほうが小さい数字を出しています。

充電中のUSBテスター実測34.50W、Wavyの表示は32.8W

差の向きが逆になるのが、正しい証拠

表にするとこうなります。

Wavyの表示テスターの実測差の向き
放電(出す側)44.4W42.94WWavyのほうが大きい
充電(入る側)32.8W34.50WWavyのほうが小さい

電気が減るのは、ケーブルとテスターを通っているあいだ。だから出す側ではテスターに届くまでに減っていて実測が小さくなり、入る側ではテスターを通ったあとに減るのでWavyに届く量が小さくなる。差の向きが逆になるのが、物理的に正しい挙動なんですな。

数字でも合います。Wavyの出口の電圧は44.4W÷2.17A=20.46V。テスターの位置では19.7V。その差0.76Vに2.17Aを掛けると1.65W。実測の差1.5Wとほぼ一致しました。

これは「表示が合っていた」で終わる話じゃなくて、なぜ合うのかまで説明がついたということ。両方の計器がそれぞれ正確じゃないと、こうはなりませんよね。

残り時間も外さない

残り時間の表示も追いかけてみました。放電中、残量96%で44W出力のとき「残り46分」と出ていた。

計算してみます。39.1Wh×0.96=37.5Wh。これを44Wで割ると51分ですが、変換ロスを1割見込むと37.5×0.9÷44=46分。表示とぴったり合いました。ロスまで織り込んで計算しているということです。

充電の終盤。開始から121分の時点で「残り26分」、141分の時点で「残り2分」と出ていました。

充電121分で残量81%、入力7Wに絞られ残り26分
充電141分で残量99%、入力2Wで残り2分


足し算するとこうなる。121+26=147分、141+2=143分。実際に100%になったのは開始から143分後だったので、26分の予告は4分ぶん長め、2分の予告はぴったり。終わりが近づくほど精度が上がっていきます。

ひとつだけ癖があって、それは放電の最後だけは控えめに出るということ。残量1%の表示になってから、そこから2分8秒動きました。外すとしても安全側に外す、ということですな。

よっしー

ここまで合ってると、逆に疑ってた自分が恥ずかしくなってくる

「10000mAh」で実際にどこまで使えるか

100%から使い切るまで測った

満充電のWavyにテスターを挟んで、MacBookを繋いで、止まるまで放置しました。開始時点のテスターの積算値は44.97Wh。

放電テスト開始時のテスター基準値44.97Wh、Wavyは残量100%


残量1%まで落ちた時点で76.29Wh。

放電終了時のテスター積算76.29Wh、Wavyの残量は1%


76.29 − 44.97 = 31.32Wh。写真2枚から検算できます。

取り出せたのは31.3Wh。公称39.1Whに対して約80%でした。

ひとつ断っておくと、これは残量1%時点までの数字です。放電はこのあと0%まで続いたんですが、その瞬間にテスターの電源が落ちて最終値を撮れませんでした。なので本当の実効容量はもう少し多いはず。控えめな側の数字だと思ってください。

なぜ39.1Whが31.3Whになるのか

減っているぶんの正体は、主に2つです。

ひとつは電圧変換のロス。中のセルは7.4V前後で、そこからMacBook用の20Vまで持ち上げるときに、いくらか熱として逃げます。

もうひとつが、私はこっちのほうが大事だと思っているんですが、0%表示でもセルは空じゃないということ。止まった時点のセル電圧を見たら6.68V、1セルあたり3.34Vでした。

放電終盤のセル電圧6.68V、U1U2とも3.34V


リチウムイオンは3.0Vあたりまで搾り取れますが、そこまで使うとセルが傷みます。Wavyは3.34Vで手を止めている。

つまり「80%しか使えない」んじゃなくて、「約80%取り出したうえで、残りはセルの寿命のために置いてある」ワケです。

セルの片減りは、最後まで起きなかった

満充電のときはU1もU2も4.08V。使い切ったときも両方3.34V。100%から0%まで、2つのセルの差は0.00〜0.01Vのままでした。

2セル直列で怖いのは、片方だけが弱っていく片減りです。少なくとも新品の状態では、最後まで綺麗に揃っていました。こんなことが確かめられたのも、セル電圧を1個ずつ出す画面があったからなんですよね。

MacBook Air M4はどこまで充電できたか

実用の話をすると、MacBook Air M4を17%から71%まで、54%ぶん充電できました。

いっぽう、Wavyを空から満タンにするのに入れた電気は44.78Whでした。

満充電までに入れた電気の積算44.78Wh
ブレてて見づらくてスマン…


44.78Wh入れて31.3Wh取り出せたので、往復の効率は約70%。コンセントから入れた電気の7割がデバイスに届く計算になります。

満充電まで2時間23分。公称2.5時間はむしろ控えめだった

0%の状態から満充電まで、時計を見ながら測りました。スタートは10時35分です。

充電テスト開始、残量0%で満充電まで3時間20分の表示


100%に到達したのが12時58分。2時間23分でした。公称は2.5時間なので、7分ですが下回っています。

UGREEN Nexode Wavyの画面が100%に到達した状態

ただし、充電器を選ばないとこの数字は出ない

これには条件があります。説明書はPD36W以上の充電器を前提にしていて、今回もそれで測りました。入力は最大33.4Wまで出ています。

別のときに16Wの入力で充電したら、28%から50%まで上げるのに約46分かかりました。この調子だと満充電までに倍近くかかる計算です。「2.5時間」は充電器次第の数字だと思っておいたほうがいい。

終盤は段階的に絞られる

入力のW数は33.4Wから始まって、19W、7W、4W、2Wと落ちていきます。

充電131分で残量89%、入力4Wで残り14分


残量89%の時点で入力4W。満充電の手前でゆっくりになるのは、セルを守るための挙動です。

どれくらい熱くなる? サーモカメラで覗いてみた

放電しながら30分ぶん、サーモカメラで撮りました。負荷は約18.8Wです。上から開始時、10分後、30分後。

UGREEN Nexode Wavyの放電開始時サーモ画像、最高34.0℃
UGREEN Nexode Wavyの放電10分後サーモ画像、最高50.5℃
UGREEN Nexode Wavyの放電30分後サーモ画像、最高50.9℃で中心36.7℃


34.0℃から始まって、10分で50.5℃、30分で50.9℃。色が赤に近いところほど高温です。画像の下のほう、ディスプレイとポートがある側だけが赤いのが分かると思います。

「セル41℃」と「表面50.9℃」は矛盾しない

時を同じくして、Wavyの画面はセル温度41℃と出ていました。

UGREEN Nexode Wavyのセル温度41℃表示の寄り


9℃も違うので混乱しそうですが、これは矛盾していません。画面が出しているのはセルの温度、サーモが写しているのは表面の温度。測っているのは別のものなんですな。

そしてサーモを見ると、熱いのは上端です。ここにはディスプレイと変換回路が集まっている。逆に、実際に手で握るリブのあるアルミ部分は40℃前後でした。熱くなる場所と、手が触れる場所が分かれている。

中心部の温度はいちばん高いときでも37.2℃どまり。アルミのボディが熱を広く逃がしているのが、緑色の広がり方に出ていますな。

本体の充電中もほぼ同じだった

Wavy本体を充電しているときも撮りました。31分の時点で表面の最高が51.0℃、中心が34.9℃。

UGREEN Nexode Wavyの充電31分後サーモ画像、最高51.0℃


出す側と入る側で、発熱の傾向はほとんど変わりませんでした。

ひとつ注意。公称の「20V/2.25A放電時に本体平均40〜43℃」は45Wでの条件。今回のサーモは約18.8Wで撮ったものなので、この数字と直接は比べられませんのでアシカラズ。

買う前に知っておきたい、2つの弱点

2台挿した瞬間、45Wが7.5Wになる

以下は私が測った数字ではなく、付属の説明書に書いてある値です。

説明書の9ページに、ポートの組み合わせごとの出力が載っています。

UGREEN Nexode Wavy説明書の出力配分表、2ポート同時は各7.5W
使い方出力
内蔵ケーブル(C1)単体45W
USB-C(C2)単体45W
USB-A 単体22.5W
2ポート同時7.5W + 7.5W
3ポート同時5W + 5W + 5W

単ポートなら45W。ところが2ポート同時に使うと、各7.5W。6分の1です。

電化ねこ

7.5W…?

これ、メーカーからもらった資料にもAmazonの商品ページにも書かれていない情報でした。ただ、背面ラベルの「Multi-port Output 5V⎓3A」(=15W)という表記とはきっちり整合します。7.5W×2も、5W×3も15W。仕様として筋が通っている。

UGREEN Nexode Wavyのポート面、USB-AとUSB-Cが並ぶ


要するにWavyは1台に全力を注ぐ設計ということです。スマホとイヤホンとタブレットをまとめて速く充電したい、という使い方には向いていない。

ワイヤレス充電はない

もうひとつはこれ。置くだけ充電にもMagSafeにも対応しておらず、ケーブルで繋ぐオンリーの製品だということ。

このへんは同じUGREENの別モデルと比べると分かりやすいので、後ろの比較のところで書きます。

釘を刺しても、2.5トンで潰しても燃えない

さて、冒頭の話に戻りましょう。

メーカーが公開している5つの安全試験

UGREENが「Dymondcell」という難燃技術の試験動画を公開しています。釘を刺す、2.5トンで圧迫する、といった内容です。私が言葉を足すより見てもらったほうが早いので、貼っておきます。

中のセルはATL製のリチウムイオン電池で、半固体電池ではありません。このジャンル、競合の何社かは半固体を推していますが、Wavyはまた別の方向で来ています。

ちなみに公式が謳っているエネルギー密度773Wh/Lは、セル単体の数値です。製品全体で計算すると39.1Wh÷0.1354Lで289Wh/L。引用するときは「セル単体で」と付けておかないと誤解を招くので。

画面に出るから、異常の理由が分かる

保護回路が働いたとき、Wavyは理由をアイコンで出します。過電流・過電圧、低温、過熱。それぞれ対処の指示つきなのがありがたいやつ。

さらに説明書には、異常を日時つきで記録する「Error Log」の画面が載っています。今回は最後まで異常が出なかったので、実機では確認できていませんが。まあ、出ないほうがいいものではありますな。

「見える化」が役に立った場面が2回あった

使っていて、これは見えてよかったな、と思った場面が2回ありました。

1回目。放電で空っぽにした直後に充電を始めたら、入力が14.42Wしか入らなかった。

深放電直後の充電開始16秒、入力が14.42Wに制限された状態


普通なら「なんか充電遅いな」で終わる場面。でもWavyはセル温度を出しているので、直前まで使い倒してセルが熱いせいだと読める、分かる。しばらく置いて冷えたら、33Wまで戻りました。

2回目。充電の途中で、入力が33Wから19Wに落ちました。

充電31分で残量24%、入力が19Wに低下


このときのセル温度は39℃。温度が関係している可能性はありますが、理由を断定できるほどの材料はないので、ここは「そういう挙動をした」までにしておくとします。

ただ、こうやって考える材料が手元にあること自体が、普通のバッテリーとの違いなんですよね。これはいろいろ調査してみたくなるぜ…

セルの型番を出す意味

前半で保留にしていた話です。

UGREEN Nexode Wavyのセルシリアル番号を2セル分表示


セルの製造元と型番、それにシリアル番号まで画面に出るということは、中身がどこの何なのかを隠していないということです。

発火のニュースを見て不安になるのは、たいてい「何が入っているのか分からない」からなんですよ。Wavyは、聞かれる前に全部出しておく側に立っている。派手さはないけど、個人的にはこの姿勢がめちゃくちゃ好印象!

同じUGREENのワイヤレス機と、どっちを選ぶか

手元にもう1台、UGREENのPB561というモバイルバッテリーがあります。同じ10000mAhで、マグネット式のワイヤレス充電つき。並べてみた。

UGREEN Nexode WavyとPB561を並べた比較、Wavyの画面は100%点灯


表にすると、同じ「10000mAh」でも中身がだいぶ違うことが分かります。

Wavy(PB603)PB561
定格エネルギー39.1Wh(7.62V)37Wh(3.7V)
セル構成直列並列
最大出力/入力45W/36W20W/20W
ワイヤレスなしQi 15W・マグネット10N
情報表示TFT 7画面LED 4段階
5V3A時の定格容量6000mAh6250mAh
重量/サイズ211g/10.9×6.9×1.8cm220g/10.5×6.8×1.9cm
Wh/g0.1850.168

繋ぎ方が違うから、出せるW数が違う

いちばん大きな違いは、セルの繋ぎ方です。Wavyは直列、PB561は並列。

UGREEN PB561の背面ラベル、37Wh 3.7Vで2セル並列


PB561の背面ラベル。37Wh/3.7V、2セル並列と書かれています。

直列だと7.4Vが作れるので、20Vまで持ち上げるのが楽です。だから45Wが出せる。並列は3.7Vのままなので高い電圧が苦手で、20Wが上限になります。

ただし逆もあって、5V3Aで使ったときの定格容量はPB561のほうが多い(6250mAh対6000mAh)。スマホを5Vで充電するだけならPB561が有利です。どっちが優れているという話ではなく、設計思想が違うということですな。

同じ18Wで並べたら、熱はほぼ同じだった

条件を揃えて測りました。PB561の上限が20Wなので、Wavy側も約18.8Wに落として比べています。

出力30分後の最高温度30分後の中心温度
Wavy18.8W50.9℃36.7℃
PB56118.9W51.4℃36.2℃
UGREEN PB561の30分後サーモ画像、最高51.4℃で中心36.2℃


差は0.5℃。実質同じです。アルミのWavyとシリコンのPB561で、この条件では表面温度に差はありませんでした。ただしWavyはこの倍以上のW数を出せる、という前提は付けておきます。

選び分け

置くだけ充電とマグネットが要るならPB561。45Wと、中身が見えることと安全面まで考慮するならWavy。2台並べてみると、性格差ハッキリ。

まとめ:個人的には、速さより「見えること」

測った結果を並べると、こうなる。45Wは出た。容量は公称の約80%が取り出せた。充電は公称より7分速かった。表示は放電でも充電でも実測と噛み合った。数字はどれも嘘じゃなかった。

一方で、2台挿すと7.5Wまで落ちるし、ワイヤレスもない。7,980円は安い部類でもない。1台に全力を注ぐ道具、と割り切れる人向けではあります。

ええやん♡
  • 45Wはちゃんと出る(実測42.94W)
  • 公称39.1Whのうち31.3Wh、約80%を取り出せた
  • 満充電まで2時間23分。公称より7分速い
  • 表示が放電でも充電でも実測と整合する
  • セル電圧・温度・健康度・製造元と型番まで見える
  • MacBook Air M4を17%から71%まで充電できた
あんまりやん…
  • 2ポート同時に挿すと各7.5Wまで落ちる(仕様)
  • USB-A単体は22.5W止まり
  • ワイヤレス充電・マグネットは非対応
  • 36W以上の充電器がないと2.5時間では充電できない

それでも私がこれを気に入っているのは、速さのほうじゃないんですよ。

遅いときに理由が分かる。熱いときに中のセルが何℃なのかが分かる。あと何分使えるのかが、けっこうな精度で分かる。中身が見れるバッテリーっていいもんですね!

あとは、落としたりとか、発火とかに一々ビクビクしなくていい安全性ね。

冒頭に書いた「その画面、信用していいんか?」への答えは、測ったかぎりでは信用していいでした。

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