「2台同時でも、速さはそのまま。」
「ずっと、フル出力。」
今回やってきたPHYSCE(ファイス)の35W充電器、公式ページがなかなか強気でして。ご丁寧に回路の説明図まで付いています。
電化ねこ35Wを2台で分けたら、半分こになるだけちゃうの?
算数だとそうなりますわな。35Wを2台で分ければ、1台あたり17.5W。USB-Cの口が2つある充電器を前にすると、たいていの人がまずここで止まります。それを「違う」と言い切っているわけで、ほんまか? と思ったのがこの記事の始まりです。
幸い手元には、電圧と電流とワット数が読めるUSBテスターと、温度が色で見えるサーモカメラがあります。2台挿したら何が起きるのか。1時間つなぎっぱなしにしたら何度まで上がるのか。ひととおり測ってみました。
先に言ってしまうと、公式の言い分には、そのとおりだった点と、私の組み合わせでは当てはまらなかった点がありました。そして後者のほうに、この充電器の使い方のコツが隠れていたんですな。
検証はこんな具合に、Macとスマホの2台挿しで進めています。


こんな人に向いている/向いていない
先に、合う人と合わない人を分けておきましょう。
- MacBook Airクラスのノートとスマホを、充電器1個で持ち歩きたい
- 枕元やデスクで、充電の状態が光で分かるのが楽しい
- 急がない夜は、スマホをゆっくり充電したい
- ノートとスマホを同時に、どちらも全速で充電したい(合計35Wの壁がある)
- 16インチ級の大きいノートを充電したい
- 光るものがそもそも好きじゃない(消せるが、挿し直すとまた点く)
PHYSCE 35W のスペックと価格
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | PHYSCE RGB Eco 急速充電器 35W |
| 型番 | C135US |
| ポート | USB-C × 2 |
| 単ポート出力 | 最大35W(5V/3A、9V/3A、12V/2.92A、15V/2.33A、20V/1.75A) |
| 2ポート同時 | 合計35W(25W+10W、20W+15W、18W+17W などに自動で配分) |
| BatteryEco モード | 各ポート最大約5W |
| 対応規格 | PD3.0(PPS)、PD2.0、QC4.0+、QC3.0、QC2.0、SCP、FCP、AFC ほか |
| サイズ | 約43.3×45.7×30mm(プラグ部除く) |
| 重さ | 約80g(実測80.7g) |
| プラグ | 折りたたみ式 |
| RGBライト | 待機中、充電中(15W未満/15W以上)、Eco で色が変わる。ボタンで消灯可 |
| 認証 | PSE |
| 保証 | 2年間(PHYSCE公式サイトで購入した場合は3年間) |
| 色 | ウェッブグレー、スターダストホワイト |
| 価格 | 通常5,450円(税込)。セール時は2,980〜4,632円を確認(2026年10月) |
価格の上下が大きい製品なので、買うときは公式サイトとAmazonの両方を見ておくのが無難です。
開封と外観:80gの立方体がやたらと格好いい
箱から出す
黒地に青いラインの箱です。クールなデザインのパッケージはすべて紙製だそうで、開けると本体がぽつんと1個。入っているのは本体と、ボタン操作とライトの説明が書かれた紙だけ。潔い。




本体をぐるっと一周
灰色の角ばった箱に、側面には回路のような溝が走っています。(墨入れしたくなる)
片面には「FULL GALLIUM NITRIDE(GaN)」、反対側にはPHYSCEのロゴ。ポート面にはUSB-C1、USB-C2、それとBatteryEcoの文字。もう一つの側面には、三つ又の模様のライトの窓があります。
私はこれを見た瞬間、ガンダムを連想しました。サイバーな感じがして格好いい。カトキハジメ氏のメカデザインがたしかこんな雰囲気だったような…。詳しい方、違っていたらごめん。




ポート面と、消灯しているときのライトの窓はこちら。




説明しよう! GaN とは
説明しよう!GaN(窒化ガリウム)とは、充電器の中で電気を変換する部品に使われる半導体のこと。昔ながらのシリコンより熱に強く、速いスイッチングができるので、同じワット数でも部品を小さくできる。つまり、本体を小さく軽く作れるのだ。
本体にもでかでかとFULL GALLIUM NITRIDEと刻んであります。ただし今どき、35W級の充電器はだいたいGaNです。手持ちの充電器を調べたら、なんかのデバイスに付属しているようなやつ以外は全部GaNでした。なので「GaNだから特別」というより、「GaNでこの小さな箱に35Wと2つの口を収めた」と受け取るのが正しい認識といえます。
大きさと重さ
キッチンスケールに載せると80.7g。公称の約80gどおりです。Amazonでめちゃ安くなることがある頭痛薬の箱に載せるとこのくらい。




比べる相手として、手持ちのUGREENの30W充電器(USB-Cが1口)を横に並べてみました。大きさはひと回り違う程度で、重さはUGREENが53.9g。27g重い代わりに、口が1つ増えて出力が5W上がる、という関係。
プラグは折りたたみ式。これがあるとカバンの中で他のものを引っかかないので、持ち歩く身としてはありがたいですな。




差込口が縦に並んだ電源タップに挿すと、本体が横向きになるので隣の口をふさいじゃう。とはいえ、これはプラグを折りたためる充電器ならどれも同じなので、この製品の欠点というより、タップ選びの話。


まず1台だけ:Macで33W、スマホは19W
測り方は単純で、充電器とケーブルの間にUSBテスターを挟んで、画面の電圧・電流・ワット数をチェックするだけ。見ての通りの安物テスターなので絶対値はそこまであてにせず、同じ機材で測った値どうしを比べる前提で読んでください。
MacBook Air(M4、残量20%)をつなぐと、19.7V・1.66Aで32.96W。公称35Wに対してテスター読みで約33Wです。テスターとケーブルでいくらか目減りするので、充電器そのものはほぼ定格どおり出ていると見てよさそう。
下の口(USB-C2)に挿し替えても、ほぼ同じ数字でした。どっちの口に挿しても同じ、で覚えておけばOK。
スマホはGalaxy S26(残量45%)で19.49W。画面に「超急速充電」と出ます。




| つないだ充電器 | PHYSCE 35W | UGREEN 30W(比較) |
|---|---|---|
| MacBook Air M4(USB-C1) | 19.7V・1.66A・32.96W | 19.7V・1.42A・28.20W |
| MacBook Air M4(USB-C2) | 19.7V・1.66A・約32.9W | ― |
| Galaxy S26 | 8.69V・2.23A・19.49W | 8.70V・2.17A・18.95W |
一方のスマホは、充電器を替えても19W前後で変わりません。これはGalaxy側が受け取れる上限なので、ここから先は充電器の差が出ないところです。
比較に出したUGREENの30Wだと、同じMacで28.20W。同じくらいの大きさで5W多く出る、というのがPHYSCEの立ち位置です。


本題:2台同時で「2台目も5Vに固定されない」はほんまか?
公式の説明図をざっくり言うと
公式の説明図をかみ砕くと、ふつうの2口充電器は、電圧を作る回路を1つしか持っていない。だから2台つなぐと、あとから来たほうは5Vという一番低い電圧に固定されやすい。それに対してPHYSCEは口ごとに専用の回路を持っているので、2台目が5Vに固定されにくい。そういう説明です。メーカーによると、配分は機器が求める電力や充電規格、バッテリー残量でも変わるとのこと。
なるほど。それなら確かめようがありますな。Macとスマホを同時に挿して、それぞれ何Vで受けているかをテスターで読めばいい。しかし私の手元にテスターは1台しかないので、知りたいほうに付け替えながら測りました。
Macを先に挿して、スマホをあとから
まずMacを(USB-C1)挿して33W。そこへGalaxyを下の口(USB-C2)に挿します。Mac側のテスターは19.8Vのままで、電流だけ下がって約24W。ここまでは順当。
で、ここがコイツの面白いところで。
テスターをGalaxy側に付け替えたら、5.00V・1.95A・9.77W。公式の説明図で「ダメな例」として描かれていた、あとから来たほうが5Vに固定される挙動そのものでした。合計は24W+10Wで約34W。公称の「25W+10W」という配分どおりではあるのですが、その10Wの枠が5V・2Aで出ていたわけです。







5Vって、一番遅いやつやん…
残量9%のGalaxyが約10Wで、画面には「完了まで2時間4分」。これは遅い。念のためもう一度やり直しても、やっぱり5Vでした。
順番を逆にすると
では逆に、Galaxyを先に挿してからMacを足すとどうなるか。Galaxy側は9.14V・14.97Wを保ったまま。あとから挿したMacのほうが12.0V・19.12Wに下がりました。合計は約34Wで、こちらは公称の「15W+20W」の配分です。
つまり私の組み合わせでは、先に挿した機器の電圧が守られ、あとから挿した機器が減らされた。順番で結果が変わったというわけですな。




| 挿す順番 | Mac側 | Galaxy側 | 合計 |
|---|---|---|---|
| Macが先 | 20V・約24W(そのまま) | 5V・約10W(落ちる) | 約34W |
| Galaxyが先 | 12V・約19W(下がる) | 9V・約15W(そのまま) | 約34W |
| 比較:VOLTME 65W・Macが先 | ― | 9V・約15W(そのまま) | ― |
| 比較:VOLTME 65W・Galaxyが先 | 20V・約43W(そのまま) | ― | ― |
65Wの充電器だとどうなるか
同じことを、手持ちのVOLTME Revo 65(合計65W)でもやってみました。Macが先でもGalaxyは9.08V・14.90W。Galaxyが先でもMacは19.9V・43.51W。こちらはどちらの順番でも、両方が高い電圧のまま。




これを見て「やっぱりPHYSCEの回路がダメなんや」と言いたくなるところですが、ちょっと待ってください。
VOLTMEは合計65Wなので、2台目に20W級の枠を割いても余裕があります。対して、PHYSCEの2台目の枠は10Wか15W。35Wという合計の枠が小さいから、あとから来た機器の電圧を落とさざるを得なかった、と見るほうが実態に近いと思います。回路の作りの優劣までは、私の機材では分からないです。
結論:Mac+スマホなら、スマホを先に挿す
MacBook AirとGalaxyの組み合わせでは、スマホを先に挿すのが正解でした。この記事で覚えて帰ってほしいのはこれだけです。スマホが先なら、スマホは約15W、Macは約19W。Macが先だと、スマホは5Vの約10Wでだらだら充電することになっちゃうので。機器が変われば配分も変わるそうなので、別の組み合わせでは試してみてください。
テスターは1台なので、あとから挿すほうに付け替えて測っています。先に挿したほうを測りたいときは、両方抜いて、テスターごと先に挿し直しました。
2台目を挿しても、1台目の充電は途切れない
電圧の話では、私の組み合わせは公式の説明図どおりにはなりませんでした。ただ、「口ごとに専用の回路」が本当なら、別の場面で差が出るはず。2台目を抜き差ししたとき、1台目の電源が一瞬切れるかどうか、です。
判定の方法はテスター任せ。このテスターは自分では電源を持っていないので、Mac側に挟んだテスターが、Galaxyを抜き差しした瞬間に消えて起動画面に戻れば、そのとき電源が切れたことになります。
結果。PHYSCEはGalaxyを3回抜き差ししても、テスターの画面はそのまま。数字が動くだけで、消えない。同じことをVOLTMEでやると、抜き差しのたびにテスターが起動画面に戻りました。つまり、Mac側の電源が毎回いったん切れている。


見た目には何も起きないので写真映えはしませんが、使う側には大事な話です。Macで作業しながらスマホを挿しても、Macの充電が一瞬も止まらない。電圧の配分は35Wの枠の中で減らされるけれど、切らずに配分を変える。公式の主張を整理すると、「2台目も高い電圧」は私の組み合わせでは当てはまらず、「切らずに配分する」は当たり、というところです。
60分つなぎっぱなし:出力は落ちない、温度は60℃台後半
Mac 1台で60分
続いてやるのは時間の話。公式は「ずっとフル出力」と言っています。Macに重い処理を回したまま(ターミナルでCPUを全開にするコマンドを走らせて)、PHYSCEにつなぎっぱなしで60分。室温は28℃、Macは残量41%からです。
| 経過 | Mac単独:出力 | 本体の最高温度 | 2台同時:Mac側 | Galaxy残量 | 本体の最高温度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 0分 | 33.02W | 31.9℃ | 19.05W | 17% | 31.4℃ |
| 15分 | 32.70W | 55.0℃ | 19.01W | 37% | 54.7℃ |
| 30分 | 32.65W | 63.8℃ | 19.04W | 55% | 63.0℃ |
| 45分 | 32.62W | 69.4℃ | 19.02W | 70% | 62.6℃ |
| 60分 | 13.54W | 66.0℃ | 18.98W | 85% | 66.8℃ |
45分間は33Wでぴたりと一定。60分目に13.5Wまで落ちましたが、このときMacの残量は82%。電圧は19.8Vのままだったので、充電器が絞ったというより、Macが満充電に近づいて受け取る量を減らした、と私は見ています。
他のバッテリーでも80%を超えると同じことが起きるので。断言はできませんけどね。
温度はどこまで上がるか
本体の温度は、15分で55℃、30分で64℃、45分で69℃。
熱いのはポート寄りの一点で、手で触ると「あつっ(ホット!ホット!)」となります。ただ33Wを45分出し続けた状態なので、プラグを折りたためる小型の充電器としては、珍しい数字ではないかなと。
対して、比較用のUGREEN 30Wは、15分の時点で52.8℃(28W)でした。




どちらも開始15分。PHYSCEは33W、UGREENは28Wを出している状態
45分の時点がこちら。赤いところが69.4℃で、本体の中央は50℃前後です。


2台同時で60分
本題の2台同時でも60分やりました。Galaxyを先に挿してからMac。Mac側は12V・19Wで、60分間まったく動かず。Galaxyは17%から85%まで進み、温度の上がり方はMac単独のときとほぼ同じでした。
ひとつ注意があって、Galaxyが100%になっても、Mac側は19Wのままでした。私が試した範囲では、挿したときに決まった配分は、相手が充電し終わっても戻りませんでした。スマホが終わったら、Macをいったん抜いて挿し直すと33Wに戻ります。


それと、重い処理を回しているMacは、19Wだと残量がほとんど増えないのも事前に知っておきたいポイント。60分で25%から32%。スマホを優先した状態のMacは、減らないのがやっと、と思っておくとがっかりしません。
RGBライトとBatteryEco:便利か、枕元で邪魔か
色で充電の状態が分かる
この充電器、側面の三つ又と上面のバーが光ります。待機中はシアンから黄、オレンジ、赤、マゼンタへとゆっくり流れ、充電中は15W未満なら青からシアン、緑へ、15W以上ならオレンジから赤、マゼンタへ。BatteryEcoのときは緑です。光の色で、いま何W級で充電しているかが分かる仕組みです。
充電中の色はこんな具合。左がスマホを19Wで充電しているときの赤、右がBatteryEcoの黃緑。




夜の寝室で
部屋を暗くして置いてみた。ぼやーっと点滅している程度で、思ったよりは目に刺さらない。ただ、真っ暗な部屋でこれだけが光っていると、おしゃれっちゃおしゃれだけど、気になる人は気になるでしょう。上の細長いバーを1回押せばすぐ消せます。


BatteryEcoモード
バーを約1.5秒長押しすると、BatteryEcoモードに切り替わります。各ポート最大約5Wに抑えて、ゆっくり充電するモード。Galaxyをつないで測ると6.07Wでした。寝る前に挿して朝までゆっくり充電したい人向け。ライトは黄緑がぼんやりとゆっくり点滅します。
急速充電に対応していないデバイスって、実は意外とよくある。それらを急速充電してしまうと故障の原因になるので、ワンタップでゆっくり充電に切り替えできるのは個人的に嬉しいポイント。


気になる点がここに2つ。Ecoも消灯も、コンセントから抜いて挿し直すと元に戻ります。挿しっぱなしなら一度設定すれば済むけど、持ち歩いて使うたびに長押しや短押しが要る。
もうひとつ、ライトを消しているとEcoかどうかが見た目で分からないという点。Ecoの目印は緑の光だけなので、消灯したままEcoにしていると「なんか充電遅いな」となります。充電が遅いと思ったら、まずEcoを疑ってください。
ええやん♡/なんで?
| ええやん♡ | なんで? |
|---|---|
| 2台目を抜き差ししても、1台目の充電が一瞬も止まらない どちらの口に挿しても約33W 80g、折りたたみプラグで持ち歩きやすい 光の色で充電の状態が分かる 急がないときのBatteryEcoモード ガンダムっぽいデザイン | 2台同時は、私の組み合わせではあとから挿したほうが減らされた(35Wの枠の限界) Ecoも消灯も、挿し直すと元に戻る 消灯中はEcoかどうか分からない 33Wを45分出し続けると約70℃まで上がる |
まとめ:私はスマホを先に挿して使っている
公式の言い分を整理すると、こうなります。「2台目も高い電圧」は、私の組み合わせでは当てはまらず。「2台目を挿しても1台目が途切れない」は当たり。「ずっとフル出力」は、合計としては当たり。配分は、私が試した範囲では最初に決まったまま動きませんでした。
欠点というより、35Wという枠の中でどう振り分けるかのクセです。それさえ分かっていれば、少なくとも私の組み合わせでは、スマホを先に挿すだけで素性よく働いてくれます。光るのも、まあ、嫌いじゃないです。
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